ノギス・マイクロメーター・ホールテスト・ダイヤルゲージ・ブロックゲージなど、これらは「計測器」と総称される道具です。たとえば製造工場などで使われているこれらの道具は、精密な電子機器の一種で、使い方を誤れば、故障する危険性があります。計測器が故障する要因は、部品などの寿命がほとんどですが、ユーザーの使い方が原因で損壊した例も判明しています。
不注意による故障には、以下のようなものがあります。
「信号発生器」という測定器にもっとも多い破損の原因です。出力端子に誤って大きすぎる電力が加わることで、故障を引き起こします。この「大きすぎる電力」とは、あらかじめ信号発生器に搭載されている逆電力保護機能の上限値を上回る量の電力です。
信号発生器に逆電力が加わる原因は3つあります。
1.いくつもの信号発生器の信号を合成して、測定物に送る
2.外付けアンプやスイッチを使って、大きな電力を信号機に流す
3.信号発生器と測定物の間にパワー・アンプなどを挿入する際、スイッチ素子や能動部品向けの直流電源を接続する
オシロスコープが故障する原因には、測定物から放たれる静電気があります。オシロスコープに測定物を接続した時に、測定物から静電気が放出されると、「TDR」と呼ばれる測定用のプラグイン・モジュールの入出力部分が壊れてしまいます。特に秋から冬にかけて発生しやすい現象です。対策として、TDRモジュール接続前に、リード線で測定器と測定物を繋いで、意図的に静電気を放出させ切っておくことが挙げられます。
大きな電力を扱うパワー・アンプを測定物として、ネットワーク・アナライザ(ネットアナ)を使うと、ネットアナの許容量を超える電力が出力されたときに、測定ポートが傷つきます。防ぐためには、測定ポートに加わる電力が「損傷レベル」と呼ばれる許容量を超えないようにする必要があります。そのためには、以下のような方法をとります。
1.ネットアナの設定を変え、ポート1の出力電力を抑える
2.パワー・アンプの出力端子とネットアナのポート2の間にパワー・リミッタを挿入する
しかし、前者は現実的ではないと言われていますので、後者の対策方法をとるのが望ましいです。
ネットアナは、校正キットのコネクタを抜き差しする際、中心導体を損なうことが多いです。こちらは、以下の方法で破損を防ぐことができます。
1.寸法精度が違うコネクタ同士を接続しない
2.コネクタの抜き差しに気を遣う
これ以外にも、計測器ごとに気にかけなければならないことは様々です。精密機器と呼ばれるほどですから、取り扱いには十分に注意しましょう。取り扱いに気を付けていれば、製品にもよりますが、5~7年ほど使えるそうです。
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寿命が来る前に売ることも考慮し、計測器の取り扱いは慎重に行いましょう。
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